当院はこの地で1934(昭和9)年に開業して82年の歴史があり、地域のセーフティーネットとしての役割は変わっていません。
薬物依存症やアルコール依存症でお困りの方についても同じことがいえます。医療職でも依存症は敬遠されがちなところがありますが、当院での役割は変わりません。
※ダルク=DARC (覚醒剤、有機溶剤、市販薬、アルコールその他の薬物から解放されるためのプログラムを持つ民間の薬物依存症リハビリ施設)と依存症からの回復について連携しています。
さらに、アルコールだけでなく覚醒剤や大麻など薬物系の依存症を対象とした認知行動療法を用いた依存症再発予防プログラム イワープ(IWARPP=IwayaAlcohol & MethamphetamineRelapse Prevention Program)を、ダルク(※)のバックアップで2014(平成26)年より行っています。最近は中学生が使用するなど、薬物汚染が広がり、低年齢化もしていますからね。勉強会にはいろいろな年代の方が参加しますが、来る人は立ち直ろうとする気のある方で、来られない人はアルコールや薬物にスリップしている可能性がありますから、住所がわかっていればできる限り訪問しています。
精神科医として健康法を助言するなら、「酒とたばこは避けるにこしたことはない」ということです。「適量」というのも疑問ですね。
ほかには、一日の歩数や睡眠時間を、スマートフォンの管理機能を使って、チェックしたほうがいいと思います。ただ、歩くだけでは上半身が運動不足になりますから、そこらにも気をつけたほうがいいでしょう。
入院すればだいたいの方の飲酒が止まります。しかし、そのまま地域生活に戻っても再びスリップし同じことの繰り返しとなってしまいます。そこで飲酒等になぜ依存しなければならないのか?そこに至るまでにどんな「生きづらさ」があったのか?そのことをIWARPPを通して一緒に学び、その「生きづらさ」の対処方法を地域生活の中で身につけていくことが回復に繋がっていくと考えています。