昨今では依存症問題が社会問題となっており、岩屋病院にも依存症の問題で苦しむご本人・ご家族の相談が数多くあります。
依存症患者の方々は、ご本人自身が感じる生きづらさを紛らわす方法として、依存物質、依存行動に行き着きます。しかしその依存によって生活が乱れ、結果としてご家族や、まわりの人達を巻き込んでしまい、孤立してしまいます。ご家族は、そのご本人の姿を見てどうしてよいのかわからず、強く当たってしまい、悪循環となってしまうことが多くみられます。
依存症はそのまま何もせずにいると、身体的、精神的にも健康被害をきたし、様々な臓器障がい、暴言・暴力、虐待、DV、自殺のリスク等を高めることになります。
そこで平成26年より、依存症再発予防プログラムSMARPPを基盤とした、当院独自のプログラムIWARPPを発足しました。
当院では断酒・断薬を原則として、入院・外来を通して治療のお手伝いをします。IWARPPへの参加を通じ、ご本人が自分自身の疾病特性について学び、専門プログラム、作業療法によって治療の必要性の「気づき」を得る関わりを続けます。
依存症の患者様が、地域で生活をしていくためには、身体的・精神的ケアだけでなく、社会性の獲得も重要な要素となります。そのためにもご本人が「気づき」を得ることは大切だといえます。
また本人への対応に苦慮されて過ごされてきたご家族の対応スキルや、依存症に対する考え方を一緒に考える「CRAFT」を薦める他、地域の家族会を紹介するなど、ご本人だけでなくご家族にとっても、安心した生活を取り戻す「回復」を目指していきます。
依存症の回復は、とても長い時間を要します。これまで長い時間をかけて依存症にかかり、苦しんできた方々が短期間の治療で回復していくのは困難です。入院や退院をゴールとするのではなく、自助グループやリハビリ施設等の地域と連携しながらご本人・ご家族と関わり続けていきます。
当院では平成31年薬物依存症専門医療機関、令和3年アルコール依存症専門医療機関に選定されました。院内にアディクションケア病棟を開設し、医師、薬剤師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、管理栄養士などの多職種でチーム医療を展開し、東三河地域の依存症専門医療機関として機能していきます。